METHOD
「哲学シンキング(Philosophy
Thinking)」
は、哲学的思考法をもとに開発された、思考の拡張メソッドです。2,500年以上の歴史をもつ哲学の思考法からエッセンスを抽出し、プロジェクト運営など、ビジネスの現場で活用できるように開発・改良が進められています。
日本で「哲学」というと、人生観や価値観、信念、格言だと思われがちですが、古代ギリシャに始まり、今日まで連綿と紡がれてきた「哲学」は、そうではありません。人間や世界に関する根本問題を徹底的に考え抜いてきた、探求の軌跡です。そこには、人類が発見・発明してきた思考の方法論が蓄積されています。哲学的な思考法により、ひとは、自らの思考の限界を超え、潜在的なクリエイティビティーを発揮することができるのです。
哲学シンキングは、哲学的な思考法に着想を得て、アイデアワークや、ビジョン・コンセプト策定、組織開発・人材育成、マーケティングリサーチ、デザイン思考の補完などに活用できるようにしたメソッドです。「フィロソフィー思考」とも言い換え可能ですが、ここでご紹介するのは、「哲学的クリエイティブシンキング」あるいは「哲学的オーガニックシンキング
」とも言いうる手法です。
以下では、メソッドの概略や特色、効果・用途・シナジーについてご紹介します。
Philosophy Thinking, or Philosophical Creative Thinking, Philosophical Organic Thinking (by K. Yoshida)
“The many become one, and are increased by one.” (A.N.Whitehead, Process and Reality, p.21.)
哲学シンキングは、問いを深め、本質を追究することで、個人やプロジェクトチームの思考フレームを拡張するメソッドです。
「問うことによる発散」と「本質追究による有機化」を繰り返すことで、課題の深部に迫っていきます。問いを深く掘り下げることで、これまで気づかなった核心的/革新的な問題が発見されたり、より浅い問題が解決されたりします。
プロジェクトの目的や用途に応じて、途中のステップにとどめることもできますが、全工程は、5つのステップから構成されます。
分野や立場が異なる人をまじえ、楽しくリラックスして話せる場を演出します。
多種多様な人と、突拍子もないことがいえる空間を作ることで、既存の思考フレームを超えていきやすくなり、新しい気づきが生まれやすくなります。
プロジェクトの課題やテーマに対して、アイデアや答えではなく、「問い」を集めます。
問うことから始めることで、課題やテーマの前提が覆され、思いもよらない視点が獲得されます。また、思考のバイアスから解放され、参加者のクリエイティビティが最大化されます。
収集された問いをグループ化し、各グループが何を巡る問いなのか、言語化します。
バラバラに拡散した問いをグループ化することで、何が問題の本質になっているのかが明確になります。グループ化された問いは、次のステップで、冒険的に議論していくための柱にもなります。
さらに問いを重ねながら、ステップ3の各問いを越境していき、複数の小体系からなる有機的な議論を構成していきます。
「なぜ、そう言えるのか」「逆の観点から考えたらどうなるか」などと問いかけあいながら、グループ化された各問いを横断的に議論していくことで、質の異なるインサイトが獲得されていくとともに、有機的な体系が構築されます。
繰り返し問われた問いや頻出キーワードを分析し、脈絡を組み換えることで、核心的/革新的な問いや本質を創出します。
ステップ2~4で編まれた議論体系を解体し、問いやキーワードを分析したり関係性を結び直したりすることで、これまで気づかなかった斬新な問いや視点、本質、意義を発見できます。
以上、5つのステップから、隠れていた本質的課題の発見や、課題解決に向けた有益で斬新な視点の獲得が可能となります。また、チームや個人にさまざまな気づきが生まれ、仕事や人生に対する意識/行動の好転、創造的・論理的・批判的な思考力の醸成などももたらされます。
哲学シンキングは、大きく分けて、以下のような場面で活用できます。
哲学シンキングは、問いに問いを重ねることで、思考のフレームを拡張します。前提を疑うことで、通常のブレストでは思いつかない斬新なアイデアや観点を着想できます。
本質を抽出するメソッドにより、解決すべき課題の核心、Not-To-Doを特定します。プロジェクトの意義や範囲の定義、商品・サービスのコンセプト策定、意思決定の支援に活用できます。
普段は考えない問いについて哲学的に語りあうことで、組織や個人の意識改革、内発的動機づけ、相互承認を促進します。社員研修、チームビルディング、エンゲージメント強化、転職・離職予防に活用できます。
顧客のニーズや暗黙知をソクラテス的問答法で引き出すことで、定量・定性分析では掴みきれない課題や本質を言語化します。観察・共感が難しいケースでも絶大な効果を発揮し、デザイン思考の補完にも利用できます。
哲学シンキング研究所では、目的や用途に応じた、実践方法の講座や体験会を開催しております。
詳しくは、下記ボタンより「セミナー・講座」のページをご参照ください。
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