School of
Philosophical Practice 実践型哲学スクール

どうしたら 多様な存在が固有のあり方を損なうことなく共生できるのか。そもそも「多様性」や「共生」とは、何を意味するのか。こう問われたとき、みなさんは自分の考えを言葉にできるでしょうか。

持続可能性や多様性・包摂性が社会で求められるなか、個人も組織も、「他者と共に在るとはどういうことか」という問いに根本から向き合う必要が生じています。社会課題への取り組みも、目指す理想の本質的な理解がなければ、意図せぬ悲劇をもたらしかねません。

古来、哲学は、自己と他者、人間と環境、ケア、未来世代への責任など、さまざまな問題に対峙してきました。その思索の軌跡は、私たちによりよい理解をもたらし、現実をより望ましい方向に変えていく助けとなります。

本講座は、「入門講義」「文献講読」「言語化」「対話」から構成され、講師陣や他の受講生と交流できるオンラインコミュニティも用意されています。また、カリキュラムは、豊富な企業実績をもつクロス・フィロソフィーズ株式会社が設計しており、あなた自身が仕事や人生に対して〈自ら解釈し、意味づけを与える〉という哲学的営為を身につけられるように支援します。

先哲に学び、学友と対話することで、これからの生き方や働き方、多様な他者との関係について、じっくり考えてみませんか。3ヶ月の講座を終えたときには、あなた自身が自らの言葉でよりよい未来を描き、実践できるようになるはずです。

クロス・フィロソフィーズ株式会社とは

専門的・体系的・対話的な哲学を社会実装する哲学コンサルティングファーム。哲学の専門知と方法論を活かして、組織の対話文化醸成や人材育成、ビジョン構築・共有、社会課題に関するコンサルティング、経営者向けのコーチングやセミナーを行っている。株式会社リクルートやライオン株式会社など、数々の大手企業や産官学連携プログラムでの実績があるほか、『日経新聞』『週刊ダイヤモンド』など、メディア掲載・出演多数。

ウェブサイト:https://c-philos.com

Online
School オンライン開催概要

定員 80名
※満員となりましたらキャンセル待ちとなります。
対象
  • 他者や社会との関係を捉え直し、自身の人生に反映させたい方
  • 大学に通うほどではないけど、専門的な哲学を体験してみたいという方
  • サステナビリティやD&Iに関連する哲学的な基礎理論を学びたい方

予備知識は必要ありません。講義およびディスカッションは、なるべく平易な言葉を使っておこなわれますので、どなたさまもお気軽にご参加ください。

募集期間 2022年8月17日(水)〜10月7日(金)
受講日 2022年10月8日(土)〜2022年12月17日(土)
全11回・毎週土曜 20:00〜21:40 ※Aコースのみ11月26日分が11月22日に変更となります
受講料 48,000円(税別)(税込 52,800円)
※選択したコース以外の講義動画もアーカイブ視聴できます
会場 Zoom+オンラインコミュニティ(SNSツールのDiscordを使用)
※講義とは別に、コースを越えた交流の場としてFriday Lounge(金曜21:00〜入退出自由)を用意しています
交流
イベント

オンラインコミュニティに加え、対面での交流イベントも開催予定です。(2022年11月6日(日)都内にて・希望者のみ参加・別途申込必要)
対面イベントでは、弊社開発の思考メソッド「哲学シンキング」ワークショップを体験していただけます。
詳細はお申し込み後にご案内いたします。

主催 クロス・フィロソフィーズ株式会社
その他
  • お申込はPeatixリンクよりお申込ください。申込多数の場合は先着順とさせていただきます。
  • 各講義の録画を受講者向けに限定公開(講義後一定期間)いたしますので、一部日程に参加できない場合でも受講可能です。
  • Zoomはミーティング形式での開催ですが、画面オフの参加でも構いません。

3 months
3 subjects3ヶ月間で3科目を修める
カリキュラム

講義の流れ

本講座では、「入門講義」「文献講読」「アウトプット」の3科目を、各1ヶ月(計3ヶ月)かけて学んでいきます。各回、受講者同士でディスカッションの機会があるほか、オンラインコミュニティでも質問等していただけます。2~3ヵ月目は、下記のA~Cコースに分かれ、学びを深めていきます。全課程を修了された方には、「第3期修了証」を授与します。

1ヵ月目

10/8
10/15
10/22
10/29

入門講義「世代間倫理 未来世代との共生」(戸谷洋志)

私たちの現在の行いは、まだ生まれていない未来世代にも影響を与えます。どのような意味で、私たちは未来の人びとに責任をもつのでしょうか。この講義では、「世代間倫理」を切り口に、未来の他者との共生について考えます。講義と参加者同士での対話を通じて、問題意識を育て、考えを深めていきます。

講義詳細をみる

この講義では、私たちが未来世代への責任をどのように考えるべきなのか、という問題をテーマにします。これは「世代間倫理 intergenerational ethics」という領域に属する問いです。現代社会には遠い未来にまで影響を及ぼす様々なテクノロジーが存在し、それによって深刻な社会課題が起きています。私たちは未来世代に対して何らかの配慮をするべき責任を負っています。しかし、当然のことながら、未来世代はまだ存在していません。存在していないものへの責任は、いったいどのように考えれば、説明できるのでしょうか。このような問題について考えることが、世代間倫理の主なテーマです。選挙になればどんな政治家も威勢よく「未来への責任」と訴えますし、私たちに身近な企業のなかにもこうした社会課題に応える取り組みをしているところもあります。そうした状況のなかで望ましい判断をするためには、未来世代への責任について私たち自身が考え、自らの信念を形作ることが不可欠です。受講者の皆様にとってこの講義がそうした機会になるよう、世代間倫理の基礎を紹介していきたいと思います。

参考文献:
吉永明弘ほか編『未来の環境倫理学』勁草書房、2018年
吉永明弘ほか編『環境倫理学』昭和堂、2020年

2ヵ月目

11/5
11/12
11/19
11/26
(※Aコースのみ
11/22)

文献講読(A~Cコースの各講師)

他人や環境との関係を哲学的に問い直す文献を読み、共生の哲学を学びます。3つのコースでそれぞれ異なるテーマを扱いますので、関心のあるコースを選択してください。(定員超過の場合は抽選の上、他コース受講となることがありますが、全コースともアーカイブ視聴できます。)
※テキストは出版社に在庫があるので、最寄りの本屋等でお取り寄せ可能です。

Aコース:環境との共生 環境美学の視座から
講師:青田麻未

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私たちが生きる世界では、さまざまな環境問題が起きています。この講座では、美学という学問を通じて、この問題だらけの時代における環境との共生について、みなさんと一緒に考えていきます。
美学と環境問題がどのようにつながっているのか、ピンとこないという方も多いかと思います。論理的思考とも実用的な判断とも違う、感覚や想像力などを従える感性のはたらきを分析するのが、美学という学問です。自然にしても都市にしても、私たちがある環境のなかにいるとき、ことばにはしづらいけれどもなぜか心を動かされることがあり、それが自分とその環境との関係を語る際に欠かせない要素になっていることがあるでしょう。そんなことばにしづらい感性のはたらきに切り込んでいくことによって、環境との共生のありかたについていつもと違った、でもこれまでの経験に密接した仕方で考えていくことができるようになるのです。
拙著『環境を批評する 英米系環境美学の展開』をメインテキストとしますが、環境との共生について考えるうえで必要な文献情報などを適宜提示しつつ、思索を深めます。

Bコース:ケアの倫理と共感
講師:早川正祐

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皆さんは感情と理性の関係についてどのように考えますか? 一般的には、「感情は暴走しかねないので、理性によってコントロールされるべき」と考えられがちです。確かにそういう場合もあるでしょう。しかし他方で、「感情が働いてくれるからこそ、理性もうまく働く」という場合もあります。例えば、相手への愛情があるので、相手のためになることを慎重かつ真剣に考える、といったように。ケアの倫理で著名なマイケル・スロートは、感情の働きを根本に据える「感情主義」(sentimentalism)の立場をとり、理性の働きを第一義的とする「理性主義」(rationalism)に反対しました。スロートは感情でもとりわけ共感に注目し、こう主張します。成熟した共感に根ざしてこそ、人間の行為は正しいものや義務に適ったものになるし、社会は正義に適ったものになる。文献講読では、このようなスロートの「ケアの倫理」の基本的発想を丁寧に見ていきます。そのうえで、「成熟した共感」をどのようなものとして捉えるべきなのかについても触れたいと思います。

Cコース:「共に在ること」を哲学する
講師:外村江里奈

コースの詳細をみる

「みんなちがって、みんないい」、この言葉の意味を説明できますか。
世界には、多様なるものが溢れ、ひとつの世界に、それぞれが多様なる仕方で共に存在しています。さて、そもそも「共生」とはどのような事態でしょうか。
本コースでは、先人の哲学思想に立ち返って過去を紐解き、「知の原理」の基礎やその課題を捉え、現代社会における課題の一端を検討します。さらに、自然と人間の関係、自己と他者、言葉や意味、視点と共通了解などの点から「共に在ること」を考え、未来を手繰り寄せてゆきます。
テキストのタイトルは『哲学の歴史』ですが、その内実は哲学史ではありません。人間はどのような存在であり、どのような在り方をするのか。現在どのような時代に生きていて、今後、多様なるものと共に、いかなる世界をかたどってゆくのか。各人が自分らしく生き逝くとは、どのようなことなのか。こうした問いに、自身の思考や経験、問いや違和感をめぐらせながら、思索します。
ぜひ、時代が共有する課題とみなさん自身の内発的な問いとの共鳴を感受し、そこを貫く内なる論理を見出してください。

3ヵ月目

12/3
12/10
12/17

アウトプット(A〜Cコースの各講師)

2ヶ月間の学びを踏まえて、自身の日常をどのように捉え直し、日々の実践にどう反映させていくかを考えます。講師のサポートと受講生同士のディスカッションを通して、自ら言語化し、Googleフォームで投稿していただきます。第3週の最終回に、講師からのフィードバック、受講生全体でのディスカッション、修了式を行います。

Lecturer &
Adviser 講師・アドバイザー

戸谷 洋志Hiroshi Toya

関西外国語大学准教授。専門は哲学・倫理学。博士(文学)。20世紀の哲学者ハンス・ヨナスを中心に、「技術」と「責任」をキーワードに研究している。未来世代への倫理をより包括的に検討することが主要な研究テーマのひとつ。また、哲学対話・哲学カフェをはじめとした教育・社会連携活動にも取り組んでいる。著書に『スマートな悪──技術と暴力について』(講談社)、『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版)、『原子力の哲学』(集英社)など。

researchmap: https://researchmap.jp/toyahiroshi

青田 麻未Mami Aota

博士(文学)。現在、群馬県立女子大学文学部美学美術史学科専任講師。専門は環境美学・日常美学と呼ばれる現代の美学で、日々の生活のなかで私たちはどんなふうに感性をはたらかせているのか、感性を通じて世界と出会うことが私たちの人生においてどのような意味を持つのかを考えています。著書に『環境を批評する 英米系環境美学の展開』(春風社、2020年)。論文に「「地域アート」の芸術的価値――環境美学の視点から」(『美学』72(1)、2021年)など。

researchmap: https://researchmap.jp/mamiaota09

早川 正祐Seisuke Hayakawa

東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座特任准教授(文学博士)。専門は哲学・倫理学で特に、行為論・ケアの倫理・臨床死生学。ケアの観点を手掛かりに、「脆さ」と「依存性」を多分にはらむ人間的主体の複雑な実態を分析しています。また、ケアの倫理を、人間の死生に関わる複雑な臨床実践に耐えうるものにすべく研究を重ねています。共訳書に『ケアの倫理と共感』(マイケル・スロート原著)勁草書房、2021年)。現在は、共感知について哲学書(単著)を英語で執筆しています(Receptivity and Human Agency [under contract with Wiley-Blackwell])。

researchmap: https://researchmap.jp/read0142788

外村 江里奈Erina Sotomura

早稲田大学社会科学研究科修了。博士(学術)。現在、早稲田大学、東洋大学などの非常勤講師および(一社)社会科学総合研究機構理事。専門は社会哲学、生命倫理、アカデミック・ライティング。博士学位論文に『現代医療と生命倫理の哲学的基礎に関する考察―「脳死・臓器移植」および「尊厳死」を事例として』、論文に「現代社会における生命観の再考―生命倫理におけるパラダイム転換について」(早稲田大学社会科学研究科ソシオサイエンス)などがある。

researchmap: https://researchmap.jp/zoerina-_-

企画・進行

吉田幸司Koji Yoshida

クロス・フィロソフィーズ(株)代表取締役社長、博士(哲学)。上智大学文学部PD、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)を務めたほか、上智大学や東京女子大学、東京工芸大学の非常勤講師として、哲学史、自然科学史、科学技術の倫理、美学などの講義や文献講読を担当してきた。日本ホワイトヘッド・プロセス学会理事、『BIZPHILO』編集長。著書に『哲学シンキング』(マガジンハウス)、共著書にBeyond Superlatives(Cambridge Scholars Publishing)などがある。

researchmap: https://researchmap.jp/yosh.kj

ファシリテーター

清水友輔Yusuke Shimizu

中央大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程を経て、現在、クロス・フィロソフィーズ(株)で、企業向け「哲学シンキング」のファシリテーターや「哲学シンカー」養成セミナー講師などを担当。萌芽的科学技術の哲学・倫理学的課題を扱う産官学連携プログラムにも参画。「フェスティバル/トーキョー20」に哲学担当で参加するなど、アーティストとのコラボレーションも行っている。哲学、ビジネス、テクノロジー、アートを架橋する仕事に多数従事している。

哲学シンカー®養成講座: https://tetsugaku-thinking202109.peatix.com/

アドバイザー

大橋容一郎Yoichiro Ohashi

クロス・フィロソフィーズ(株)顧問。上智大学名誉教授、放送大学客員教授、日本フィヒテ協会会長、日本カント協会前会長、グリーフケア研究所元副所長。共著書に『グローバル・エシックスを考える』、『死ぬ意味と生きる意味 : 難病の現場から見る終末医療と命のあり方』、『人間の尊厳を問い直す』など、他多数。

クロス・フィロソフィーズ株式会社
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